厚沢部文化遺産調査プロジェクト

北海道厚沢部町の文化遺産や歴史、自然について紹介します。

2022-01-01から1年間の記事一覧

厚沢部の入口「峠下」

厚沢部町字峠下は函館から江差へ向かう国道227号の厚沢部側の入口にあたります。鶉川のもっとも奥にあった集落が峠下でした。「峠下」という地名は日本全国の至るところにあり、近隣では「箱館戦争勃発の地」として知られる七飯町峠下があります。 峠下の旧…

字名に昇格した「社の山」地名

鶉川の支流に社の山川という小さな河川があります。この社の山川を挟んだ段丘面に字「社の山」があります。 字社の山の旧字名 「社の山」の旧字名は少なく、「木間内」、「東館」、「東館原野」、「須賀」の4つです。これらの旧字名はすべて別の集落の一部で…

史跡館城跡にちなんだ「城丘」地名

城丘と糠野(ぬかの) 城丘旧地名地図 厚沢部町字城丘は厚沢部町でもっとも奥まったところにある(主観的ですが)集落です。厚沢部川対岸の字富里と並んで、行き止まりの集落となっています。 現在の字名「城丘」は、この集落に国指定史跡館城があることから…

三上超順力試之石はどのくらい重いか〜iPhone LiDARとCloudCompareによる体積計測〜

フォトグラメトリやiPhone LiDARによって取得した三次元データから体積を計測する方法を紹介します。 三上超順力試之石と祟りの伝説 館城内に安置される「三上超順力試之石」 「三上超順力試之石」は厚沢部町字城丘史跡館城跡内にある丸石です。次のような話…

松前藩の鷹打場〜旧地名「鷹落」をめぐる謎〜

現在の鷹落(2022年9月17日撮影) 厚沢部町字鶉に「鷹落」という旧地名があります。「鷹落」地名は「鶉本村」の西側に広がります。 旧字名「鷹落」の分布 現在の「鷹落」には厚沢部町が設置した看板があります。看板の記載は次のとおりです。 厚沢部町が設置…

厚沢部町の「メノコシ」地名

松園町とメノコシ地名 松園町は旧大字俄虫村の一部で、その大半は「女ノ越(めのこし)」という旧字名です。 女ノ越は松園町だけではなく、上の山にも広がります。 明治29年国土地理院発行5万分1地形図では、現在の上の山の領域に「メノコシノ沢」が見られ、…

旧大字名「館」を冠した新興地名「館町」

厚沢部村旧大字館村から館地名を引き継いだのが「館町」です。 いわば大字館村のフラッグシップ集落を継承したことになります。 しかし、その歴史は浅く、集落の形成は明治後半に入ってからです。 過去記事で述べたとおり、厚沢部町「館」地名の語源は現在の…

赤沼集落の沿革と地名の由来

赤沼集落の沿革 厚沢部町赤沼町は、昭和35年の字名改正で字名の変更がなかった数少ない集落です。赤沼集落の文献上の登場は遅く、管見の範囲では近代になるまで現れません。集落の草分けは陸奥国南部から移住した喜代三とされています。明治19年の『青江理事…

厚沢部町字新栄に残る「館」地名と謎の「ロクロ場」

厚沢部町字新栄の旧字名は大字館村「館ノ下」、「館ノ沢」、「館ノ岱」、「館越」、「ロクロ場」です。これらの地名は、ともに厚沢部の歴史にに関わる重要な意味があります。 館地名の由来 厚沢部町の館地域には、明治元年(1868)、松前藩によって「館城」…

古写真で見る厚沢部町本町市街地の変化

国道227号周辺の厚沢部町本町は、昭和35年の字名改正までは、大字俄虫村に属しました。明治時代の初めまで「俄虫」といえば、今の上里が中心でした。明治19年の鶉山道開通をきっかけに、現在の国道227号沿いに市街地が形成されていきました。 以下に掲載した…

厚沢部町「土橋(つちはし)」の語源

土橋村の草分けとヒノキアスナロ 北海道厚沢部町字富栄の旧大字名は土橋村です。延宝6年(1678)に喜三郎が津軽から移住したのが草分けと言われています(『青江理事官諮問回答書』)。延宝6年は『福山秘府年歴部』の延宝6年の項に「この歳初めて、山人をし…

科学の力が解き明かす館城のすがた〜金属探査編〜

この記事は、2022年3月26日に開催した「あっさぶ郷土学講座」の配布資料をもとにしています。令和3年8月に行った、館城跡の礎石建物の周辺で金属探査やレーダー探査、磁気探査などの地下探査のうち、金属探査について記述します。 探査領域は藩主の住宅を含…

鶉川ゴヨウマツ自生北限地帯でゴヨウマツを確認する

2022年3月27日の踏査 前回の3月12日の踏査では、ゴヨウマツらしき針葉樹が低い尾根に存在することを確認しましたが、尾根を降りて接近すること無く引き返してきました。 今回は、尾根を下り、遠くに見えていた針葉樹に接近してみました。 指定範囲の手前の尾…

雪で折れた見出しの笠松

2022年2月17日、厚沢部の本町にある見出しの笠松の太い枝が、雪の重みに耐えきれず折れてしまいました。 見出しの笠松は昭和48年3月17日に指定された北海道記念保護樹木です。 見出しの笠松 近づいてみると、太い枝が折れているのがわかりました。 見出しの…

旧字名「大丁岱」

北海道厚沢部町には「字鶉」と「鶉町」があります。全国的も珍しい「鶉」地名が町内に2箇所もあることになります。 現在、字鶉は「本村」と呼ばれるように、昭和35年字名改正以前に「鶉」といえば字鶉のことを指すものでした。鶉地名については過去に「鶉マ…

意養鉱山調査記録

厚沢部町字上里にある意養鉱山の調査について、一通りのフィールドワークが完結したので記録として残します。 厚沢部町の鉱山 厚沢部町にはかつて稼行していた鉱山が2つありました。俄虫(がむし)鉱山と意養(いやしない)鉱山です。 意養鉱山及び俄虫鉱山…